無痛分娩とは?

なぜお産は痛いのでしょう?

簡単にお答えすると “赤ちゃんを生み出そうと子宮が収縮し、赤ちゃんが押し出されているから”
です。

赤ちゃんが生まれ出てくる、子宮の出口(子宮口)は生まれる前
は硬く閉じています。その出口が少しずつ柔らかくなって開いて
いき、子宮が収縮する事で、“陣痛”として痛みを感じるのです。

この陣痛は不規則なうちは1時間に数回だけですが、収縮力も
次第に強くなり、規則的になると4-5分に1回、2-3分に1回と頻
回になっていきます。

マギールの疼痛スコア(痛みの尺度)

マギールの疼痛スコア(痛みの尺度)という、様々な痛みの強さを質問表により数字で評価した
グラフがあります。痛みの強さは胎児の大きさや位置、骨盤の形などによっても個人差があります
が、個人差があるとはいえ、“陣痛”はかなりの痛みと表現されています。

マギールの疼痛スコア(痛みの尺度)

陣痛の痛みは赤ちゃんが生み出されるまで数分おきに続くので、痛み刺激により血圧があがったり、過呼吸になったりすることもあります。

このような母体へのストレスは、胎児に悪影響を及ぼしている事が研究でわかっています。

 

無痛分娩とは何でしょう?

日本でも「無痛分娩」での出産を希望される方が増えています。日本ではまだまだ普及率が低い
出産方法ですが、欧米ではごく一般的な出産方法となっています。

なぜ欧米では一般的な分娩方法が日本ではほとんど普及していないのでしょうか?
そして、「無痛分娩」とは、どんな出産方法なのでしょうか?

1.歴史的背景と文化

日本では、昔から「産みの苦しみ」、「お腹を痛めた我が子」と表現されるような、出産の痛みを美
徳としたり、痛みを耐えてこそ子供への愛情が生まれる、といった考え方があります。これはもとを
糺せば儒教的な考え方の影響によるもののようです。

欧米では、出産の痛みはアダムとイブが禁断の果実を食べたために神から与えられた原罪であり、それを取り除くことは神への冒涜とされた時代もありましたが、そういった時代的背景の中でも、中
世には薬草やアルコールを用いて、出産の痛みを和らげようとさまざまな試みがなされました。

1853年、イギリスで、ヴィクトリア女王がクロロホルム麻酔で出産をしたことをきっかけに英国国教会が無痛分娩を認知しました。これをきっかけにヨーロッパでは無痛分娩が広まっていきました。

1940年代にはアメリカではすでに、24時間体制の無痛分娩サービスや硬膜外麻酔による無痛分娩が開始され、希望者には無痛分娩を行うことはごくあたりまえのこととなっていきました。

1992年にアメリカ麻酔学会とアメリカ産科婦人科学会は「妊産婦が無痛分娩を要求することは当然の権利である」との共同声明を発表しています。

イギリスの博物館の写真

(イギリスの博物館の写真:19世紀の
イギリスの中流家庭での無痛分娩の様子)

2.日本と欧米の医療事情の違い

欧米での無痛分娩の普及率は高く、最も普及率の高いフランスでは、実に、妊婦の74%が無痛分娩を選択し、出産しています。何故、それほど普及しているのでしょうか?

それらの諸外国では産科医療の`集約化´が進んでおり、産科医や小児科医、そして産科専門の麻酔科医が十分確保されているセンター病院で分娩するのが一般的であることが大きな要因です。
一例としてフランスの医療事情を紹介します。

フランスの医療事情

フランスの医療事情

フランスでは、年間分娩数2000件以上の病院95%が24時間体制で無痛分娩を行っています。もちろん、無痛分娩の際の麻酔を管理するのは、専門の麻酔科医です。

人口あたりの麻酔科医の数についてお話すると、フランスは日本の2.5倍です。

集約化された施設に、十分な医師の数、これらが日本とは大きく異なる点です。

さらに、日本では産科麻酔のトレーニングを受けられる機関やシステムがほとんどありません。 産科麻酔に興味を持っていても実際にトレーニングを受けることは大変難しく、そのため産科麻酔
のトレーニングを受けた麻酔科医は非常に少ないのです。

 

無痛分娩の種類

ここでは医療機関で行っている無痛分娩の方法についてご説明します。

  • (1) 硬膜外麻酔を用いる方法
  • (2) 脊椎麻酔(※1)を用いる方法
  • (3) 硬膜外麻酔と脊椎麻酔を両方用いる方法
  • (4) 鎮痛剤の点滴・注射を用いる方法(※2)
  • (5) 笑気ガスなどを用いる全身麻酔による方法

の五つに主に分けられます。
現在主流になっているのは、(1)です。(4)(5)は鎮痛効果が不十分であったり、お母さんの意識が朦朧となるなど副作用や合併症の危険が高いため、あまりお勧めできません。

硬膜外麻酔も脊椎麻酔も、日本でも手術の際の麻酔法として、何十年も前から行われている安全性の確立した麻酔法です。その麻酔法を分娩時の痛みを和らげるために用いたのが、「無痛分娩」です。

※ 1 現在の正式な医学用語では、脊髄くも膜下麻酔と言います。
※ 2 鎮痛薬の点滴・注射は厳密には「麻酔」ではありません。

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